Working Backwards - プレスリリースから始める社内勉強会

この記事はさくらインターネット Advent Calendar 2023 5日目の記事です。

こんにちは、さくらインターネットの山本です。去年に引き続きSRE室という部署で働いています。

最近は

  • 某プロダクトのOpenTelemetry対応の一環としてSigNozを試験導入/運用
  • ログ解析基盤のDBをMariaDBからClickHouseに移行
  • 新規プロダクトチームへスクラムを導入
  • チームが自立自走できるようにするためのチーム運営支援

というあたりを担当しておりました。

今回の記事について

今回はチーム運営支援の一環としてファシリテーション/ファシリテーショングラフィックについての社内勉強会を企画した時にWorking Backwardsという考え方を取り入れてみたのでその体験談を投稿いたします。

「Working Backwards」とは

Working Backwardsとはこちらの記事によると

Working Backwardsでは「お客様は誰ですか?」 から始まる5つの質問を通じて、本当に必要なサービスを企画・開発していく。
具体的にはプレスリリースを書くことでこれからつくるプロダクトやサービスを明確にし、FAQを作成することでより具体的な体験として考えるための手法である。
(引用元: Amazonのイノベーションを支える「Working Backwards」とは?)

とのことです。

ファシリテーション勉強会を開催するにあたり@zembutsuさんに相談したところこの手法を使ってみてはどうか?とアドバイスいただいたため早速使ってみることにしました。

「プレスリリース」と「FAQ」を通じて企画を考える

今回は社内勉強会のため実際にプレスリリースを出すわけではないですが、参加者を募る際には勉強会についてのアナウンスを行いますのでそれをプレスリリースと見なすことにしました。

まずはじめにお客様を「全社員のうちファシリテーションを学びたい方々」とし、「望ましい顧客体験とは何か?」というところから考えてみました。

「望ましい顧客体験」を考えてみる

せっかく参加するなら1人で読書するだけでは得られないものが欲しいな、とか 今感じている問題を解決できたら嬉しいな、すぐに業務に役に立つ/業務が改善できるものだと嬉しいな、などと考えた結果以下2つを望ましい顧客体験と定義しました。

  • 座学だけではなく体験や実践ができること
  • 業務に直接役立つ学びがあること

「望ましい顧客体験」から逆算して詳細を考えてみる

次に定義した望ましい顧客体験を実現するために必要な要素を考えてみました。

座学だけではなく体験や実践ができること

  • 教師−生徒という関係だと座学みたいになりそうだから「学びたい人たちが集まって自分たちで学ぶ」ようにしよう
  • なるべく一人一人がたくさんの体験/実践を出来るように少人数のグループ制にしよう

業務に直接役立つ学びがあること

  • 何を目指す勉強会なのか明確にしよう
  • ファシリテーションが役に立つようなシチュエーションを詳細にイメージできるようにしよう
  • 具体的なツールの使い方についても学べる/体験できるようにしよう

「FAQ」を考えて詳細を詰める

次に「自分が勉強会に参加するのであれば何が気になるか?」という視点からFAQを考えて詳細を詰めることにしました。 ここではオーソドックスに5W1Hの視点を用いました。

Why: なぜ?

What:何を?

When: いつ?

  • Q: どれくらいの期間なのか?

    • A: 毎週1回/全8回を想定
  • Q: どのくらいの時間を使うのか?

    • A: 勉強会が毎回1時間とすると全8回で8時間、事前に教材を読む時間として2時間程度、合計10時間程度

Where: どこで?

  • Q: この勉強会はどこで開催されるのですか?
    • A: 弊社ではリモートワークを前提とした働き方を採用しているためこれに合わせフルリモートで開催

Who:だれが?

  • Q: 参加するためにどのような資格(役職/職位)が必要ですか?
    • A: ファシリテーションに興味があれば誰でもOK
      • 会議/MTGをより実り多いものにしたい方
      • チームメンバーにもっと積極的に会議/MTGに参加してほしいと感じているチームリーダー
      • 会議/MTGで発言しにくさを感じているチームメンバー

How:どのように?

  • Q: 具体的にどのような進め方をするのですか?イメージができないと不安/怖いです

    • A: 全8回を想定、人数としては5〜20人程度を想定しており、5人程度に分かれてグループワークする
  • Q: 事前に何か準備が必要ですか?

    • A: 事前に書籍を購入する
  • Q: 教材はどのように買えば良いですか?費用負担は誰がしますか?

    • A: 各自で購入 & 費用は会社負担(各自で経費精算する)
  • Q: 読書は業務時間内に行っても良いですか?

    • A: OK、ただし上長とは相談しておくこと

これらを盛り込んでプレスリリースを作成

次にここまでに考えた望ましい顧客体験やその詳細、FAQを元にプレスリリースの文面を作成しました。

【告知】ファシリテーション勉強会の開催について

# 概要と目的

  ミーティング/会議に参加していてこのような問題を感じたことはありませんか?

    - 司会者が一方的に話すだけ、静かで居心地が悪い
    - 発言があっても質疑応答のみになっている
    - 一部の人だけが発言している
    - 自分が参加する意義を感じられない
    - 議論はしているが議題があちこちに飛んでしまい、今何を議論しているのかわからなくなることがある

  この勉強会では上記のような問題の解決を目指すために、ファシリテーションについて学び、実践し、
  ファシリテーターとしてのマインドセットやスキル、ツールの活用方法などを習得することを目指します。

# この勉強会で学べること

  - ファシリテーションのマインドセット
  - ファシリテーション・グラフィックをはじめとしたファシリテーションのスキル
  - Miroなどのオンラインホワイトボードの使い方

# 想定参加者

  どなたでもご参加いただけます。役職や職位、所属部門などの制限はありません。
  
  - 会議をより実り多いものにしたい方
  - チームメンバーにもっと積極的に会議/MTGに参加してほしいと感じているチームリーダー/マネージャー
  - 会議で発言しにくさを感じているチームメンバー
  
  人数は5~20人程度を想定しています。1グループ5人程度に分かれてワークを行う予定です。

# 参加方法

  - 次のURLからご参加ください。 https://example.com/xxx
  - 連絡用にSlackの #xxx にご参加ください。
  - 当日はZoomでご参加ください。
  - 不明点があれば@xxxまたは@yyyまでお問い合わせください。
  
# 教材と教材費について

  教材として以下を利用します。  
    - ファシリテーション・グラフィック[新版] 議論を「見える化」する技法 (堀公俊, 加藤彰)
  各自で購入して経費精算してください。
  経費精算時の予算コードはxxxをご利用ください。

# 勉強会の進め方

  毎週1回/全8回を予定しています。各回は1時間の予定です。
  
  - 第1回: オリエンテーション    
  - 第2回: 読書会 & 共有会  (1周目)
  - 第3回: 実践会(1周目) 
  - 第4回: ふりかえり会(1周目)    
  - 第5回: 読書会 & 共有会(2周目)
  - 第6回: 実践会(2周目) 
  - 第7回: ふりかえり会(2周目)    
  - 第8回: 全体のふりかえり会    
  
# その他注意点

  - この勉強会は講習(先生−生徒の関係)ではありません。各自が自分自身で学ぶことを重視します。
  - この勉強会は学んだことの共有/議論/実践の場です。
  - 読書は上長と相談の上で業務時間中に行なってください。

募集開始 〜 開催

作成したプレスリリースを用いて実際に参加者を募集をしてみました。

当初は10人くらい集まれば十分かなと思っていたのですが、予想に反し上限の20人を超える参加申し込みがありました。

想定参加者や目指す姿を書いておいたからか参加者の熱量は高く、とても充実した勉強会を開催できました。

ふりかえり

勉強会を開催しようとした当初は毎週集まって輪読会をする、くらいのぼんやりとしたイメージしか持てていなかったのですが、 プレスリリースやFAQを作成することを通じて半強制的に具体的なイメージを持てました。

例えばグループ分けについて当初は考え至っていなかったのですが、参加者目線で「座学だけではなく体験や実践ができること」を実現するために何が必要か考えたところ大人数ではファシリテーターをやる機会がなかなか回ってこないという問題に気付き少人数のグループ制にするというアイディアを思いつきました。

今回はあまり関係なかったですが、参加者目線から考えることで企画者がやりたいことと参加者の求めることのギャップにも気付けるというあたりはアジャイルなプロダクト開発ととても相性が良さそうに感じました。

おわりに

社内勉強会にWorking Backwardsという考え方を取り入れてみた体験談をお届けしました。
何かの参考になれば幸いです。

今回は以上です。お読みいただきありがとうございました。

参考文献