はじめに
ナウでイケてるヤングな皆様におかれましてはTerraformを使うのはもはや当たり前ですよね?
このTerraformですが日々バージョンが上がっており、ネット上で公開されているtfファイルの書き方が若干古いものもちょいちょい見受けられます。
特にTerraform v0.10.3(2017/8/30リリース)で導入されたLocal Valuesについては利用している例が少ないように思いますので今回通常のvariable
との違いなどについてまとめてみます。
TL; DR 今北産業
- tfファイル内の変数は基本的に
Local Values
を使おう - 特に判定処理は
Local Values
で明確な名前をつけよう Variable
を使うのは外部からのインプットにする場合だけ
そもそもLocal Valuesってなによ?
Local Valuesとはモジュール内に閉じて使える変数です。モジュール内でのローカル変数のようなものですね。
参考: Terraform ドキュメント - Local Values
なお通常の(これまでもあった)variableについてのドキュメントはこちらです。
参考: Terraform ドキュメント - Input Variables
Local Valuesは以下のように使います。
# Local Valuesとして変数定義 locals { switch_name = "my-switch-name" } # Local Valuesを使う resource sakuracloud_switch "sw" { # "local." というプレフィックスで参照できる name = "${local.switch_name}" }
localsブロックは複数記述可能
locals
ブロックはモジュール内に複数記述できます。もちろん変数名はモジュール内で一意である必要があります。
# サーバ関連の変数を定義 locals { server_name = "foobar" server_core = 2 server_memory = 4 } # ディスク関連の変数を定義 locals { disk_name = "foobar" disk_size = "20" }
様々なデータ型が使える
Terraformで使える様々なデータ型を指定することが可能です。
locals { # bool型 enabled = true # 数値型(10進数) num10 = 10 # 数値型(16進数) num16 = 0x16 # 文字列 strvar = "example" # リスト listvar = ["item1", "item2", "item3"] # マップ mapvar = { item1 = "foo" item2 = "bar" item3 = "baz" } # 複合型(map/リスト/文字列など) compvar = { tags = ["tag1", "tag2"] metadata = { foo = "1" bar = "2" nested = ["foo", "bar"] } } }
Variableとの違い
関数や他リソースの参照が使える
Local Values
には関数や他リソースの参照などが書けます。
例えば任意の変数が設定されているか(空文字以外が指定されているか)を判定した結果を変数として保持しておけます。
variableを利用する場合、三項演算子などでvariableの値を判定して分岐させるというような処理を行っていました。
variable use_load_balancer {} resource sakuracloud_load_balancer "lb" { # use_load_balancer変数が設定されていたらcountを1に、以外の場合は0にしてリソース作成しない count = "${var.use_load_balancer == "" ? 1 : 0}" } resource sakuracloud_switch "sw" { # use_load_balancer変数が設定されていたらcountを1に、以外の場合は0にしてリソース作成しない count = "${var.use_load_balancer == "" ? 1 : 0}" }
同じ判定を行なっている箇所が複数あってDRYじゃないですね。
これをLocal Values
を使って書き直すと以下のようになります。
variable use_load_balancer {} # 判定処理をlocalsブロック内に局所化 locals { load_balancer_count = "${var.use_load_balancer == "" ? 1 : 0}" switch_count = "${local.load_balancer_count}" } resource sakuracloud_load_balancer "lb" { count = "${local.load_balancer_count}" } resource sakuracloud_switch "sw" { count = "${local.switch_count}" }
判定処理についてはわかりやすい名前をつけておくことで可読性も上がりますし、どういう判定をしているのか追いやすい(定義を見ればよい)ですね。
Local Valuesは外部からの値の設定ができない
variableは以下のように様々な方法で値の設定を行うことができます。
apply
実行時に対話的に入力- コマンドラインから
-var
オプションや-ver-file
オプションで指定 terraform.tfvars
ファイルで指定- 環境変数(
TF_VAR_xxx
など)で指定 - variableの定義時にデフォルト値を明示
このため、variableをtfファイルの簡易化といった目的で利用していた場合は意図しない値が入力される可能性もあったりします。
例えばcount構文と組み合わせる場合に以下のような書き方をすることがありました。
# # Local Valuesがない時代の書き方 # # サーバに割り当てるIPアドレスのリスト variable ip_list { default = ["192.2.0.1", "192.2.0.2", "192.2.0.3"] } resource sakuracloud_server "servers" { # ip_listの要素数分のサーバを作成 count = "${length(var.ip_list)}" # 自身のインデックスでIPアドレスリストを参照 ipaddress = "${var.ip_list[count.index]}" }
ip_list
はvariableなため、外部から意図しない値が入力される可能性があります。
Local Valuesであればこの辺りを気にせずに使用可能です。
# # Local Valuesを利用した書き方 # # サーバに割り当てるIPアドレスのリスト locals { ip_list = ["192.2.0.1", "192.2.0.2", "192.2.0.3"] } resource sakuracloud_server "servers" { # ip_listの要素数分のサーバを作成 count = "${length(local.ip_list)}" # 自身のインデックスでIPアドレスリストを参照 ipaddress = "${local.ip_list[count.index]}" }
ということで、意図しない値の設定を防ぐためにもtfファイル上で変数を扱う際はまずLocal Valuesを利用し、外部から値の入力が必要な場合のみvariableを利用するのがオススメです。
まとめ
ということでLocal Valuesを積極的に使いましょう。 以上です。